デンマーク西部の港町エスビャウは、「自然と共に学ぶ」ことを軸に据えた幼児教育を実践しています。海と森、砂丘に囲まれたこの地域の園では、外遊びが教育の中心であり、どんな天候でも子どもたちは外に出て、実際に自然と触れ合いながら学びます。「自然が教室であり、教師である」という哲学が息づいているのです。
エスビャウのカリキュラムには、海洋生物の観察や浜辺の貝殻集め、流木を使った小屋作り、風や潮の流れに関する探究活動などが含まれており、五感と身体を通じた深い学びが展開されます。これらの活動は、気候変動や環境保護といった大きなテーマへの気づきにもつながり、幼児期からの環境意識の醸成に大きく貢献しています。
また、デンマーク独自の「フリルフツリブ(friluftsliv:屋外での豊かな生活)」という考えが教育の根底にあり、自然の中で過ごす時間そのものが心身の成長にとって不可欠であると考えられています。自然の中でのリスクを適切に管理しながら挑戦する経験は、子どもたちのたくましさや判断力、好奇心を育てます。
教師たちは、正解を与えるのではなく、問いかけを通じて子どもの気づきを促すファシリテーターとしての役割を担い、「知りたい」「やってみたい」という内発的な動機づけを大切にしています。エスビャウの子どもたちは、体と心で世界を感じ取りながら、自分自身の力で世界と出会う喜びを学んでいるのです。 西海岸の街エスビャウでは、海や自然が教育の舞台です。園児たちは日々、浜辺や森、砂丘で学びます。海洋生物や気象、環境保全をテーマに探究活動が行われ、「自然と共に生きる力」を育てます。「フリルフツリブ(野外生活)」という考え方が根づき、五感と身体、そして好奇心を最大限に活かした教育が行われています。